上司や職場の人間関係に悩んでいる…そんなあなたに寄り添います!
Twitterで多くの共感と支持を集めたアタリ上司とハズレ上司の典型像。新社会人や転職者にとって、上司ガチャの引きは、その後の命運を分ける。
身の上がぴったりはまるあなたを、今日も会社という箱の外に連れ出します。
今回は、男子柔道日本代表・井上康生監督の振る舞いにアタリ上司像を学びます。
男子柔道日本代表・井上康生監督が選手を奮い立たせた言葉
責任と向き合い、選手を奮い立たせる
東京オリンピックで金メダルが期待された90キロ級の向翔一郎選手の敗退を受けて、井上康生監督がメディアや選手本人にかけた言葉です。
監督の責任に真正面から向き合う堂々とした力強さと、選手の気持ち切り替えさせ、次の目標へと鼓舞する印象的なコメントでした。
責任に向き合うことには覚悟が必要です。それを堂々と迷わずに発言できる。
日頃から自分に厳しく、選手たちへ強い思いをかけられてきた姿勢が伝わってきます。
目指す柔の道は最強かつ最高
そんな言葉を選手にかけながらも、自分自身もその高みにたどり着いていないという謙虚さ。しびれます。
相手を制する圧倒的な強さだけでなく、相手を高める豊かな人間性の先に、目指すべき柔の道があると説く。
豊かな人間性が生み出す求心力
井上康生監督は、代表選手の誰もが目標とする存在であり、金メダルをかけてあげたいと強く願う。
そんな求心力を生み出したのはまさに、井上康生監督の強さと豊かな人間性であったように感じます。
その素養は私たちの職場でも大切なことで、優れたリーダーに共通した魅力であるといえます。
それでは、優れたリーダーはどうやって相手の行動を促しているのか? その秘訣に迫りたいと思います。
優れたビジネスリーダーはどうやって行動を促すのか?
人は何をではなく、なぜに動かされる
「WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う」の著書でも知られるサイモン・シネック氏。
TEDのプレゼンテーションで、優れたリーダーがどのようにして納得感をつくり、相手の行動を促すのかを説明しました**。
同氏によると、優れたリーダーシップはとてもシンプルなモデルで説明できる。
そのことを、ゴールデンサークルと呼ばれる模式図で解説しました。
言葉に呼応するから行動が起きる
ゴールデンサークルは脳の役割とよくリンクしている。人の脳で意思決定をつかさどる中枢には言語能力がない。
考えたり心が動くのは別の中枢が担っており、意思決定は実は直感的なものだという。
なぜ?から始めると、この直感を響かせることができる。
つまり、言葉を理解するから行動が起きるのではなく、言葉に思わず呼応するから行動が起きるいうこと。
その反応は生物学的な原理に基づいているそう。
日常のコミュニケーションは情報に溢れている
ところが、多くコミュニケーションはゴールデンサークルの外側から内側(WHAT→WHY)へと行われています。
例えば、家電量販店での体験。店員さんから製品説明を頂いても、ピンとこないという経験は誰しもあるように思います。
退屈だと感じて興味がなくなると、意思決定の中枢まで刺激が届かないのです。
まさに、あれこれ言われてもまるで納得感がないという状態です。
なぜ?の答えは意思決定に直結する
このように、サイモン・シネック氏は「なぜ?」から始めれば、意思決定の中枢に響いて効果的に行動を促すことができると説きました。
つまり、直感的な意思決定が生じた後から、情報や情動によって理由づけしていくという説得アプローチです。
例えば、SNSの投稿を読んで反射的にシェアボタンを押して共感コメントを書いた。そんな感覚でしょうか。
なぜ?から始まるコミュニケーションの効果
もしアップルが他の会社と同じだったら?
もし、アップルが他の会社と同じコミュニケーションをした場合、こんなCMになるでしょう**。
- WHAT:アップルのコンピュータは素晴らしい。
- HOW:美しいデザインで簡単に操作できます。
- WHY:ユーザーフレンドリーなので、ひとついかがですか?
なんだか違いますね、これでは心を動かされません。
ですが、このような展開の広告は世の中に溢れています。
アップル本来のコミュニケーション
アップルなら、こんなコミュニケーションでCMを打つはずです。
- WHY:アップルは世界を変えていく。これまでと違う考え方に価値があると信じています。
- HOW:我々が世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品です。
- WHAT:こうして素晴らしいコンピュータが出来上がりました。
WHYに熱量をかけて、情報を伝える順番を逆にしただけで、印象ががらりと変わります。
この納得感の違いが、「なぜ?」から始めるコミュニケーションの効果です。
直感的な納得感に勝る引き金はない
人は、なぜ?が自分の信じることとつながっていると直感的に納得できるからこそ、製品を熱望したり、仕事に打ち込むことができる。
だから願わくは、人を動かすために権力にモノをいわせるハズレ上司ではなく、なぜ?を的確に伝えて納得感をもたらし、貢献の輪を広げていくアタリ上司と働きたい。
そう願わずにはいられない。
納得して仕事に取り組めること。とてもシンプルで大事なこと。
ところが、組織が大きくなると、その意識はだんだん薄れてきて、上司ガチャが回り始める。
すべての仕事が納得できる、なんてことなはない。
でも、何もかも納得できないって仕事ではストレスが溜まるばかり。
このバランスをケアできるかどうか、それがアタリ上司とハズレ上司の境目になる。
なりたい自分像に近づけるというやりがい
仕事での成果や学びを通して、なりたい自分像に近づけるとしたら、その仕事は意義深いものになる。
つまり、なぜこの仕事を任せるのかという説明と、なりたい自分像に繋がっていると信じられる納得感がリンクすることで、やりがいを感じることができる。
行動を促すとともに能力の開花を導く
意欲的な行動を促すコミュニケーションの方法をまとめます。
- 何をするかの前に、なぜ任せるのかを的確に語る。
- 周囲への貢献や自己実現につながると信じられる文脈を操る。
優れたビジネスリーダーは相手の行動を促すとともに、自己実現に向けた能力の開花を導く。
組織が大きくなっても初心を忘れずに
アタリ上司はその責務に真摯に向き合う。ハズレ上司は地位や権力にのさばる。
部下をもった時、どちらを選ぶかは自由ですが、周囲への振る舞いで同僚の幸福度は180度変わります。
強烈なカリスマ性によって、すべてのネガをかき消すリーダーもいますが、多くの場合は、知性と品格によって自らの振る舞いを決めることになる。
上司ガチャ、そんな言葉が生まれる時代に再認識したい。
自尊心はいくら高めてもいいが、他尊心を等しく高めることが前提。
先輩社会人である私たちには、それぞれに違う特長を尊重しながら、熱量のある次世代を導く役割がある。
これまでと違うカルチャーや思考を柔軟に受け止め、自分たちも変わり続けなければならない。
年齢を重ねるほどに、もっと高みへ、謙虚に自分を磨きつづけよう!
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